信託受益権とは
信託受益権売買のパターン
ケース③
決済前に売主が実物不動産を信託し
その信託受益権を買主に売却します。
実務上は、まず売主・買主間で不動産売買契約を
締結し、その後、売主・受託者間で
不動産信託契約を締結して不動産を信託したうえで
売主、買主間で信託受益権売買契約を締結し
これと同時に不動産売買契約が解除(あるいは失効)
となる場合と、当初から売主・買主間で
信託受益権売買契約を締結する場合等があります。
このケースは「有価証券の売買」ではなく
「有価証券の発行」という扱いになり、この譲渡を
仲介する行為は「私募の取扱い」に該当します。
対象不動産が信託銀行の受託要件に適合しない
場合には信託契約が締結できないことがあります。
ケース④
信託契約を解除し、受益者もしくは受託者が
売主となって実物不動産の所有権を売却します。
実物不動産の売買ですので、不動産取得税および
所有権移転に係る登録免許税が課税されます。
信託受益権売買と実物不動産売買とのちがい
不動産信託受益権の売買 | 実物不動産の売買 | |
---|---|---|
商品特性 | みなし有価証券(金融商品) | 不動産 |
関連法令 | 金融商品取引法 金融商品の販売等に関する法律 他 |
宅地建物取引業法 他 |
免許 | 第二種金融商品取引業(登録) | 宅地建物取引業 |
購入希望者の商品知識 | 一般消費者には金融商品取引に関する知識は浸透していない | 一般消費者であっても、例えば居住用不動産であれば、ある程度の予備知識はある |
流通課税 | ・不動産取得税:非課税 信託解除の場合:実物不動産と同様 ・登録免許税 受益者変更:一件1000円 信託契約解除による所有権移転 (土地)評価額×20/1000 (建物)評価額×20/1000 ・売買契約書の印紙税:200円 |
・不動産取得税 評価額×3/100又は4/100 ・登録免許税 所有権保存:評価額×4/1000 移転(土地):評価額×15/1000 移転(建物):評価額×20/1000 ※上記は軽減措置等適用後の税率 ・売買契約書の印紙税 契約金額による |
物件の所有者 | 信託銀行(受託者) | 買主 |
この他、以下のような違いがあります。
①不動産信託受益権売買に信託契約と
それに関連する契約が一体になっています。
②信託契約を引き継ぐため
信託会社との間で手続が必要となります。
③信託銀行(受託者)が適当と認める
プロパティマネジメント会社と
プロパティマネジメント契約を
締結する必要があります。
④不動産鑑定評価書が良い
エンジニアリングレポート書の作成や
提出等を求められることがあります。
⑤不動産信託受益権は金融商品にあたるため
売買時までに法定の手続が必要となります。
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